「ななってホントお嬢さまだよねー」
「お金持ちでいーなぁ!」
このことばをどれだけ待っていただろう。
このことばの為にどれだけ作りあげてきただろう。
この快感をわすれてしまいたくない。永遠に…
そう思ったのはいつ頃だろう…わたしはこの快感の為だったらどんな努力もどんな嘘もつく。
そんな事をもう何年も やってきたせいで本当の自分は生き場所をなくしてしまった。
それでもよかった。
例え本当の自分の居場所をなくしたとしても、こんな家庭からは抜け出したかったから。
あたしが抜け出す方法は結婚しかなかった…金持ちと結婚して本物のお嬢さまになる。
あたしの唯一の将来の夢。これを夢にしてしまわないように…
「なな!」
「……。」
「なな!」
「ん?なにぃ?」
「夏休み泊まりであそびにいこ-?」 「22日ごろからいこ-よ!」
「ごめん…旅行いくからその日むりだぁ。」
「旅行?どーせまた海外でしょ!?今年はどこ?」
「ハワイかな」
「本当っセレブだねー(笑)」
聞いた?いまの…あなたもきっとこれを一度感じてしまったら抜けられないだろう。
そんな風に毎日を送っていたあたしに友達が一人の男の子を紹介してきたの。
内心…写メを見たかぎりめちゃくちゃタイプ!
まぁ結婚する相手でもないし、また良い子ぶってればちょろいと思って遊びに行ってみた。
目が合ったらニッコリ笑って喋りすぎない。一通りやったからひっかかるだろうとおもったのに……あたしじゃない…………