振り返ると、ヤツがいた。ニッコリ笑って立っていた。次の瞬間、グーパンチが飛んで来た。
「こらっ!自販機を蹴るな〜」
もろに当たったオレは、呻いた。馬鹿力のヤツは手加減を知らなかったようだ。
「痛い。まじで、痛い。なんだよ!さっき会ったばっかのやつに、グーパンチはないんじゃないの?なんてやつだ、信じられん」
その、オレの苦痛まじりのセリフをヤツは一蹴した。
「うるさい!モノは大事にしろって、親に言われなかったの?」
まるで、先公のようだ。ムカッと来たオレは、こういってやった。
「人に痛いことをするなって、親に言われなかったのか?それに、名前ぐらい言ったらどうだ」
言い返してやったオレは、すっきりした。だが、ヤツはさらにこう返して来やがった。
「悪いヤツは、人じゃないからいいの!あたしの名前は、あんたに教えるほど軽いもんじゃないのよ」
こんな言い合いが、ゆうに10分は続いた。お互いに息を切らしている所に塾のスタッフが来て、オレ達に一喝した。
「君ら、うるさいよ!そろそろやめたらどうた。何が原因か知らんが、他の人たちに迷惑だ」
この恐いもの知らずのおじちゃんに、なぜかオレ達の怒りの矛先が向いた。
フタリ同時にガンを飛ばした。続