『闘争本能のいい部分だけを厳しくも手早く体得する方法』
俺はこれを極道院で教わった。
「ふんっ!!」
盗賊の一人のアゴに強烈なアッパーを食らわせる。
『本能として戦いを体に刷り込ませる』
3日間ただこれだけをドウセン師範から叩き込まれた。
『この方法は体に極度の負担を与え、それは常人の耐え得る物ではない』
戦いなんて素人中の素人だった俺がここまで戦えるのは死に物狂いでその苦しみに耐えきったからである。
「さあ、次はどいつだ!?」
俺は3人目を倒し、他の奴らを挑発する。
『なぜ厳しい訓練に乗り切れたか?』
それは苦しい中でもみるみる強くなっていく自分に喜びを感じたからだろうか。
ははっ。意外にMの気があるのかもな。俺。
「薬も使い方を誤れば毒となる……。力もまた然り」
初めてフロンが拳砲を見せてくれたとき、俺は恐怖した。命を簡単に消し去ってしまうほどの力に。
「だけどそれも使い手次第……。俺は絶対にその道を踏み外さない」
月光の中からゆらりと人影が浮かび上がる。
「……こいつぁ派手にやってくれたなぁ」
俺は慌てて構え直す。こいつは今までの雑魚とは違う。
「てめぇがやる気なら一つ手合せ願おうか……」
ぎらりと男の目に光が宿る。
「このヴァミオラ・サダム様とよぉ……」