こんな感覚は久しぶりだった
淡く誰かに恋に落ちる瞬間
−好きになる
「有希ちゃんは、今日は最後までいられるの?」
二次会で隣に座った隆くんが尋ねてきた
「うん。終電までは」
「そうかぁ」
「そう、朝までは体力的に無理だしね」
ほんとのところ、既婚者に許可なしの朝までコースはNGだ
旦那の帰宅よりは早くなきゃいけない
「じゃあ、俺もそれで帰るわ」
「帰る方向は違うけどね」いたずらに笑った
「いや、有希ちゃんの駅まで送るよ」
「え」
「一緒に電車に乗りたいし」
「え?でも終電だから、隆くん帰りは?」
−ん?困った、泊まるのは無理だし、うちにもあげれない、もちろん、そんな気なんてないし、あれ?隆くん的にはヤル気満々って事?ん?やっぱり、それが目的かぁ…
あれこれ、考えが巡って結局ガッカリした
久々にときめいたりして、私ってばさ…そんなわけないのにさ…
結局、自己嫌悪とガッカリしながらも、隆くんと電車に揺られてる
−まあ、いいや、いざとなったら結婚してること言おう
隆くんとの会話はあまり耳に入らない
何を聞かれてもうわの空
「有希ちゃん?どうかした?」
「ううん、別に」