それから何口か温かいミルクが体に入ると、あんなに開かなかったまぶたが嘘のように開いたのだ。
言い知れぬ恐怖からようやく開放された僕はホッとしていた。
すると母は僕の頭を撫でながら、「良かったわね。人の体は複雑だもの。たまには体だって万能じゃないからどんな臓器も器官も忘れる時はあるものよ。さぁ!早く用意して下に来てね!」と僕に言った。
僕は母の言葉を聞き、また言い知れぬ恐怖を感じた。…ならば、体が息の仕方や心臓が動かし方を忘れたら……?
考えただけで恐怖は止まらない。…
どうか臓器や器官よ。動かし方を忘れないでくれと震えながら祈ってる僕がいた…。