少年の頃、誰でもヒーローになりたいと一度は思った事はあるだろう。
宮間 健次は県立高校の二年生、どこにでもいる普通の男だ。今まで平凡に、何不自由なく暮らして来た。そんな健次は学校の休み時間、漫画を読んでいた。
「相変わらずこの主人公はカッコイイよな〜」
健次が呟く、健次が読んでいた漫画は、並外れた身体能力を持つ主人公が敵を次々と倒して行くものである。だが、実際は「敵を倒す」=「殺す」という事なのだが、現代の少年や健次にとっては「倒す」という感覚しかないだろう...
「お前そういう漫画好きだよな〜」
健次のクラスメイトの笹木 智明だ。智明は健次の親友でいつも二人でつるんでいる。
「男もその漫画の主人公みたいに強かったならな〜」
「何かあったのか?」
智明がいうにはどうも昨日カツアゲにあったらしい。
「でも殴られたくないからね、お金だけだったからまだよかったよ。」
親友がカツアゲされた、複雑な心境の中、健次は
「そうだね...」
としかいいようがなかった。
学校も終わり、いつも通り健次と智明は一緒に帰ろうと教室から出ようとすると、
「そこのお前!!今俺を睨んだだろ!!??」
高校同学年で、1番タチの悪い奴が、同じクラスの松尾の襟を掴んでいる。松尾はクラスで目立たない、どちらといえば根暗なタイプだ。
「何か文句あるのか!!!??」
健次と智明を関わらないほうがいいと、足速に教室を後にした。
「松尾君かわいそうだね。」
健次が呟く、
「けど巻き込まれるのも嫌だしな...」
智明も歩きながら呟く。
いつもは楽しい話をしながら帰る二人も、今日は口数少ないまま別れた。
健次はその日の夜、インターネットをしていた。見ているサイトは大好きな漫画のサイト。すると
「ん?何だこれは?」
見慣れないバーナーがサイトのリンクに貼られていた、健次はよくこのサイトを利用するので一目で気付いた。