一瞬たじろいだが、アリスがつかつかと入っていくので俺達もあわてて付いて入った。
なんときらびやかな世界なのだろう。
中はすこし照明がおちて暗いが装飾がキラキラと輝いてまぶしい。
席に案内されて、そこにはアリスと書かれたボトルが置いてあった。
俺と一樹は緊張しながらアリスと並んで座り、周りを見渡した。
音楽とダンス、あわただしく動き回るホスト達。
みんな大人に見えて、自分がここにいるのが場違いに思えてはずかしい気持ちになる。
俺達の前に手際よく水割りを作っているホストがいた。
これがアリスの指名するホストなのだろうかと思いまじまじと見つめていた。
派手なスーツに貴金属をつけて見るからに成金趣味のような男に見えた。
でもそれが俺にはとてもかっこよく思えたから不思議だ。
軽く乾杯をしてそのホストはアリスに俺達の素性を聞いているようだった。
俺もアリスにこの男がダーリンなのかと、こっそり聞いた。
するとアリスは大笑いして、違うと答え、「ヘルプだよ」と答えた。
指名者が席にいない間、席に着いて客の話の相手をして指名者の手助けをする役だ。
しばらくしてアリスは、俺たちを置き去りにして、席にいたホストとホールでダンスを踊りだした。
くるくると回ってテンポよく踊っている。
うまいものだ。
アリスの意外な一面を見て驚いた。
俺たちは、おのぼりさんのようにキョロキョロと落ち着きがなかった。
その時、俺達の席に一段と派手なホストが座った。