振り向いたユカリの瞳は少し傷ついてるように見えた。
「ちゃんとわかってねぇだろ。」
「わかってるよ。ただのセフレの私に、プリクラ持ってられるのが気持ち悪いんでしょ?」
「わかってねぇよっ!!」
自分でも驚くくらいでかい声。
こんなふうに誰かに怒鳴ったの初めてかも。
「全然わかってねぇよ……。」
口の中で呟いて、固まっているユカリを抱き寄せた。
ユカリがなにをわかってないのか、説明しろと言われたら絶対無理。
だって俺にもわかんねんだもん。
でも、ユカリとプリクラを撮るのが気持ち悪いなんて思ってない。
ただ、
「恥ずかしいだけだよ。そんだけ。」
俺の言葉を聞いて、ユカリが顔を上げた。
唇が綺麗に弧を描く。
「………良かった。」
小さく呟くユカリの手を引いて、俺はゲーセンへと向かった。
でもまだ胸がざわついてる。
ユカリの口から出た言葉が、耳を離れない。
ただのセフレーーー
そんななんでもないフレーズが、
よく使うフレーズが、
どうしてこんなにも……
俺を揺るがすんだろう……