「おめでとぉ〜!!」
今日は沙耶の誕生日。「HEAT」で飲み会。「HEAT」は涼の親友のBAR。えりかと涼の出会った場所。
「あと、来てないの涼だけぇ?」
涼の友達の拓が言う。
「アタシ電話してみよぉ〜。」
沙耶が携帯電話を開く。
「悪い!遅くなって。」
えりかの後ろで涼の声がする。
「涼!遅いっ!」
みんなが口をそろえて言う。
涼は何気なく、えりかの隣りに座る。
えりかは涼に背を向けたまま会話のないまま時が経つ。
ふと気づくと沙耶がいない。
「あれ?沙耶は??」えりかが周りを見渡す。
「拓とあっちにいるよ。」ミカが言う。
拓と店を出ようとする沙耶の姿。
「ねぇ、涼。沙耶が拓と、どっか行ってるって!いいん?」
えりかは涼に言う。
「・・・。えりかは俺の事、どんな男と思ってるん?」
怒った声で涼が言う。
「・・・・・・。」
初めて見る涼の冷たい横顔。
「帰る。」
涼はいきなり立ち上がる。
えりかの手をつかんで強引に引っ張る。えりかは慌てて荷物を持つ。
涼とえりかはそのまま店を出てタクシーに乗り込む。
涼の家に向かうタクシーの中、えりかの手を握ったまま一言も話さない涼。
えりかは窓の外を見つめる。
(・・・なんで沙耶は拓と?・・・涼に対するあてつけなのかも。アタシが邪魔しなければ今ごろ・・・。)
沙耶は自分を責める。
涼の家の近くでタクシーを降りる。
「手・・・。めちゃめちゃ汗かいてるんやけど。」
涼が口を開く。
「実は、アタシも・・・。」
えりかが答える。
「今更なんやけど、ちゃんと言ってなかったね。俺ら、付き合お?」
涼が言う。
「・・・うん。」
えりかは答える。
えりかと涼は初めてのキスをする。
・・・初めてえりかは涼に抱かれる。