人類滅亡───
その言葉は現実のものとなるのか。
2XXX年,地球温暖化が進み,森林伐採は止まらず,砂漠化は進み,生態系は乱れ,地球は崩壊寸前だった。
『秀ちゃん,行くょー』『来い,慶』。キャッチボールをしている二人組。慶ちゃんこと沢村慶一は,西城中学校野球部のエースだ。そして座って慶一のボールを受ける秀こと川嶋秀二は西城中学校野球部キャプテンでキャッチャーだ。二人は幼なじみで昔からの腐れ縁だ。
8月20日。夏休み真っ只中。今日は部活が休みだったので,二人で街外れの公園でキャッチボールをしていた。真夏の静かな公園に,二人の元気な声とグローブでボールをとるバシッという音が響き渡る。
『秀ちゃん,今日なんか暑すぎじゃない?』
『確かにな。いつもより暑いなぁ。まぁ,夏だからな。』
と言いながらキャッチボールを続ける。
『秀ちゃん,ストレート行くよぉ!!』
元気いっぱい言い放つと慶一のミットめがけて目一杯投げ込んだ。ボールは秀二のミットより右にズレた。秀二は捕らなかった。
『秀ちゃん,ちゃんと捕ってやぁ』
しかし秀二はどこか遠い方を見て顔色を変えていた。
『秀ちゃん!!どしたぁん??』
『…慶,後ろ見てみ…』
『後ろ??ホントどうしたん?』
と,言いながら後ろを向いた慶一。慶一のグローブが手から落ちた。
真っ赤に燃えている街。逃げ惑う人の群れ。一瞬,映画かと思うような光景だった。
『ヤバくね!?』
冷静な秀二。
『………。』
無言の慶一。
すると街の上空に円盤が見えた。
『秀ちゃん,あれ…』
『UFO?』
その円盤からまぶしい光線が発射され,その光線にあたったビルが炎上している。
『慶,山に逃げるで!!早く来い!!』
『待って,秀ちゃん!!父さんと母さんと弟が…』
『みんなも逃げてるよ,きっと。早く来い!!』
『う,うん。』
全力疾走で駆ける。キャッチボールをしていた公園は,元々山のふもとにあったので,すぐに木々の中に隠れる事が出来た。
『秀ちゃん,なんなんこれ』
『知るか,分かる訳ないじゃん!!』
真っ赤に燃えている街。空に飛んでいる円盤は,いつの間にか数えきれない数になっていた。
静かな森。二人以外,人がいない。
『なぁ慶,この山にいるのって俺らだけかな?』
『確かに,誰もいないねぇ』
『おかしくないか?慶,俺ちょっと街見てくる!!』