White cherry-pRelude-

パブロフ  2007-04-04投稿
閲覧数[135] 良い投票[0] 悪い投票[0]

培ってきた時間を奪われる時は、ひどく残酷に、刹那だった。
僕の目の前を覆う絶対的な赤。
それが吹き出している源は、さっきまで僕の隣で笑っていた彼女。
辺りには赤く染まった雪。
皮肉にもその光景があまりにも神秘的で


しばらくしてサイレンの音が聞こえてきた。
ぴくりとも動かない彼女がストレッチャーに乗せられ、運ばれていく。
その様子を見ながら、不思議と冷静に事実を受けとめている僕がいた。
客観的にこの出来事を単なる事故と割り切っていた。
そうする他なかった。 

警察はひき逃げ事故として捜査を進めていくらしい。





しばらくして辺りは閑散となった。




雪に染み付いた真っ赤な血を残して。



僕はしばらくその場に立っていた。


どうすればいいかわからずに


身の振り方を考えようともせず、ただそこにずっと、立っていた。






雪は、まだ止まなかった



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 パブロフ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
コンタクトのケアが変わる
洗浄1つで視界良好


▲ページトップ