「なんか悪いことしたかなぁ」
「ううん、なんかね…なんでかな…飲み過ぎかな」
なんでかな…本当にテンション急降下しちゃった
こんなの私らしくないはずなんだけど
いつもみたいに迫られたら結婚してることで逃げたらいい、けどなんでかな、隆くんには知られたくない
「あ…」
ふと声をあげた私の目に飛び込んできたのは、反対のホームを改札にむかう、旦那の姿だった
「知ってる人?」
私の軽い動揺と視線の先をキャッチしたみたいだ
「あ、うん」
「有希ちゃんと同じ駅なんだね、あの人」
「うん」
「あのさ、有希ちゃん、また会える?」
「え?」
なんだ?この展開、隆くん帰るかな?
「隆くん、帰るの?」
わ、なんか帰ってほしくないみたいないい方に聞こえたらやだなぁ
「帰るよ〜何?もしかして帰ってほしくない?」
「いや、ううん。そういうわけじゃないけど、電車おわってるよ」
「男はね、なんとかなるの」
にこっと笑う隆くんにまた心臓が早くなった
こんな笑顔の人、久しぶり会ったなぁ
「ね?また会える?」
「うん。」
私たちメアドと携帯番号を交換した
隆くんと別れ、私は早足で旦那の後を追う