何とか三人は登校時間ギリギリに間に合い教室に入った、クラスの雰囲気がいつもと違う...原因は一目で分かった。昨日絡まれていた松尾の顔が見るに無残に腫れあがっていた...健次も智明も、クラスの誰でさえもその事には触れようとはしない。
「それでは朝礼を始めるぞ〜!」
担任の高島が教室に入っ来た。
「松尾!?どうしたその顔は!?」
すると松尾は、
「いや、ただ昨日階段から転んだだけです。」
「そうか...」
普通に階段から落ちた傷ではないと誰でも一目で分かるが、高島は深入りせず流した。もめ事は避けたいのだろう。このクラスには松尾を助けようとするHEROはいない...
やがて一時間目の休み時間に入った、すると昨日松尾に絡んでいた奴が廊下から、
「おい!何で学校来てるんだ?来るなといったはずだよな!?」
クラスは静まり返り、みな下を向いていた。
「学校に来るか来ないかは僕の勝手でしょう?」
誰もが耳を疑った!!!松尾が、絡んでいる奴に向かってこういい放ったのだ!松尾に絡んでいた奴は完璧に切れている、教室の机を蹴散らしながら松尾に近付いてきた。何人かの生徒は教室から足早に逃げさった、しかし健次と智明は松尾の席の近くだったせいか、恐怖の余り足が動かなかった。目の前で松尾が再び襟を捕まれている、健次は自分に被害がない事だけを祈り、ずっと下を向いていた...
次の瞬間、
「アッ〜〜〜!!腕が〜!!腕が〜!!!ギャー!!!」
松尾に絡んで奴の肘の間接が見事に逆に折れている、いや、折れているどころではない、骨が肉を突き破り、シャワーの様に血が噴き出している。
「痛て〜よぉ〜!誰か助けて〜〜!」
松尾に絡んでいた奴が床にのたうちまわる
「ゴキッ!!」
鈍い男が響き渡る...
松尾がとどめの一撃を加えた、相手の首は見事180反対を向いて、うつぶせのはずだった顔が上を向いている。
クラスはまさに地獄と化した。
健次はまだこれが現実だと受け止めきれていない
「何してる!?健次逃げるぞ!」
智明が健次の手を引っ張って教室から逃げ出した!健次は智明に手を引かれながら、松尾に目をやると、松尾のポケットからは昨日インターネットで見た人形が垂れ下がっていた。