「ハァ、ハァ」
健次と智明は息を切らせながら屋上まで上がって来た。
「どうなってんだよ松尾の奴」
智明が息を切らせながらいった、
「ああ、信じられない...」
健次は人形の事は智明にはいわなかった、人形のせいであんな強くなるはずない、自分にこういい聞かせていた。
「とにかく先生か警察来るまでここにいようぜ、血なんて見たくないし。」
健次が呟いた、
「あいつ、死んでたよな?」
「多分な...」
「だけどさ、散々松尾をいじめてたし、やり返されてもしょうがないんじゃないかな?」
「何いってんだよ健次!正気か!?いくらいじめたといっても殺していいわけないだろ!?」
智明は健次の言葉に耳を疑った。
やがて警察のサイレン音が聞こえて来た、
「健次!ほら!警察来たぞ!」
二人は屋上からパトカーを見下ろす、
「もう戻っても大丈夫だろ、教室に戻るか?」
智明が健次に問いかけた、
「そうだね、戻ろうか」
健次が、屋上から下へ続く階段のドアに手をかけたその瞬間!
「バキ!!」
ドアが吹き飛び、ドアに手をかけていた健次も一緒に吹き飛んだ。
「松尾!?」
そこには返り血を浴びて真っ赤な顔をした松尾が立っていた。健次と智明は再び恐怖に怯えた、目の前にいるのは、クラスメイトではあるが、今二人の目には人殺しとしか写っていない。健次は怯えながら沢山の事を考えた、
(何故屋上に?)
(復讐?)
(いじめられてるのをとめなかったから?)
(嫌だ、死にたくない)
怯える健次と智明をよそ目に、松尾は屋上の手摺りを乗り越えた。
さすがに、今から松尾がとるであろう行動は、誰でも一目で分かった。すると智明が
「やめろ!いくら人殺したといっても自分まで死ぬ事はないだろ!?」
「...いいんだよ、僕はもう人生に満足した」
すると健次が、
「松尾...人形..のせいなのか?」
松尾が驚いた顔をして、
「健次君も知ってるんだ、この人形...あげるよ!これ身につけてたら死ねないし...」
松尾はベルトから人形を外し、健次に投げやった。健次が人形をキャッチして、松尾に目をやると、既にそこには松尾の姿はなかった。