信号待ち<1>

日山 扇  2007-04-05投稿
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学校帰り、いつもの通学路。

いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。

なぜか気になって、少し離れたところで自転車を止め、しばらく眺めてみた。

信号はいつまで経っても赤のまま、車が何台も通り過ぎていく。

数分後、見ているのも飽きて自転車を漕ぎ出した。

次の日、今度は登校中、やっぱりいつもの通学路。

いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。

チラッと目をやったけれど、遅刻するといけないので、そのまま自転車を走らせた。

学校帰り、いつもの通学路。

いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。

近づいて行って彼の横に自転車を止めた。

「君、朝もここにいたよね」

そう言うと少年は、

「そうですね、朝もここにいましたよ」

と言った。

信号はずっと赤のままだった。

次の日の朝も次の日の帰りも、少年は信号を待っていた。

何度も何度も同じ姿を見かけた。

この寒い中、ずっと待っていた。

ある日の帰り、いつも通り自転車を走らせていると、赤信号の下に座り込んでいる少年がいた。

近づいて行って彼の横に自転車を止めた。

「ずっと待ってるんだね」

そう言うと少年は、

「そうですね、ここを渡らないと家に帰れませんから」

と言った。

信号は赤のままだった。

次の日の朝も次の日の帰りも、少年は信号の下に座っていた。
何度も何度も同じ姿を見かけた。



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