学校帰り、いつもの通学路。
いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。
なぜか気になって、少し離れたところで自転車を止め、しばらく眺めてみた。
信号はいつまで経っても赤のまま、車が何台も通り過ぎていく。
数分後、見ているのも飽きて自転車を漕ぎ出した。
次の日、今度は登校中、やっぱりいつもの通学路。
いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。
チラッと目をやったけれど、遅刻するといけないので、そのまま自転車を走らせた。
学校帰り、いつもの通学路。
いつも通り自転車を走らせていると、信号待ちをしている少年がいた。
近づいて行って彼の横に自転車を止めた。
「君、朝もここにいたよね」
そう言うと少年は、
「そうですね、朝もここにいましたよ」
と言った。
信号はずっと赤のままだった。
次の日の朝も次の日の帰りも、少年は信号を待っていた。
何度も何度も同じ姿を見かけた。
この寒い中、ずっと待っていた。
ある日の帰り、いつも通り自転車を走らせていると、赤信号の下に座り込んでいる少年がいた。
近づいて行って彼の横に自転車を止めた。
「ずっと待ってるんだね」
そう言うと少年は、
「そうですね、ここを渡らないと家に帰れませんから」
と言った。
信号は赤のままだった。
次の日の朝も次の日の帰りも、少年は信号の下に座っていた。
何度も何度も同じ姿を見かけた。