目覚ましの音が煩い。
このまままた眠りに堕ちようかと思ったが、月次決算の処理が終わってないことに気づき仕方なくベッドから出た。
毎日同じ時間に起きて同じ小田急に乗る。
こんな毎日に何の意味があるのだろう。
いつもの駅でいつもの車両に乗り込み、いつもの景色を眺める。
ただ、瞼はいつもより重い。
ふと思う。
私が、この世からいなくなったら、誰か泣いてくれるかな。
昨夜、恋していたことに気付いた。
気付くと同時に、失恋した。
仲良くしていた彼ががいた。
彼と私と彼女は親友だった。
とりわけ、私と彼は国内の同じサッカーチームのサポーター仲間で、毎日のようにメールや電話で議論したり、情報交換したり、週末にはスタジアムで共にチャントを歌ってはビールを飲んで笑いあっていた。
友達にはいつも『二人の間には入れない』と言われるほどの名コンビだった。
『つきあっちゃえば?』言われたのは一度や二度ではない。
その度に私は否定してきた。
-全く同じ趣味のひとと付き合うなんて嫌だよ。サッカーだけじゃなくみんなと旅行したり映画みたり…趣味広げたいんだ。
それが照れ隠しなのはわかっていた。し、いずれ付き合うような気がしていた。