フェイドアウト

風海  2007-04-07投稿
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また、家族に嘘をついて…今、横浜にいる。彼がゆっくりと私の指に指輪をはめた。その瞬間、ラウンドマークタワーの夕方6時を知らせる鐘がなった。その鐘は私には時刻を知らせるものには聞こえていない。
二人を祝福しているウエディングベルにしか聞こえなかった。涙か出た…
もちろん、嬉しい気持ちはあるが手放しで喜べない理由があるだけに私は複雑な心境の涙を流した。
彼は、少しの笑顔で私を見つめたが、すぐに私の気持ちを悟った。
そして、笑顔の中にも、申し訳なさそうな感情があることを私も悟った。
このまま時間が止まればいいのに…
そう思ったら私も少しだけ笑顔になれた。
人に必要と思われたことも、親の愛情も知らない…幸せってことも何だかわからない私が今、この人といるだけで全部クリアできてると思った。こんな私が…
今まで生きてきて、人に誉めてもらうってことも彼が教えてくれた。
何で出会うのが今になったのか、それだけが悔やまれた。
急に、彼がポケットに手を突っ込み私から少し離れた…
私は一気に現実に戻された。

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