[っりえねぇ...っぅう....]
自分は今仰向けになっているらしい
そして体中が激痛に浸食される
自分たちは負けたのだろうか
しかし誰に?
その時
どこからともなく地面を踏み締める音が近付く
顔をしかめながら言うことを聞かない体に鞭を打った
しかし立ち上がれない
[アクやん....]
[み...せい?]
美青が曇った空しか見えなかった景色の端っこに顔をだす
心配したような、泣き出しそうな顔
[負けたのか]
ひりつく喉に叱咤して一言絞り出せた
美青は小さく頷く
[怖かったんやで...アクやん死ぬと思って...ウチ...!]
ついに泣き出す美青
その涙が頬を伝ってアクスアの胸に落ちた
[みっ...んな死んだ..っく...アクやぁん!!]
うわぁああ
と声をはばからずに涙を流す
その小さな体を腕でもって優しく引き寄せた
胸にあっけなく収まる14才
アクスアのコートを掴みながら仲間の名をひたすら叫ぶ姿は痛々しいものだった
[美青...あいつらは死んだ、俺だって悲しい。でも悲しんでる暇なんかねぇんだ]
腹筋に力を集めて起き上がる
そのときに見えた景色には目を覆いたくなるほどの恐怖を覚えた
惨劇
この言葉どおりだと思うアクスア
[美青...一回アジト戻るぞ]
[うん...ぁっ...た..立たれへん]
膝を折り曲げたままの体制から動けないらしい美青
[ごめんアクやん...先いっとい---きゃあっ]
甲高い声とともに足を地面に付けられた美青
右腕にはアクスアの血みどろの手
[ったくよォ..!世話焼かせんな貧乳チビ]
[ひっ...貧乳ゆうなーっ!!チンピラがー!!]
いつもならもっと続くこの言い合い
しかしそれは二回で中断した
アクスアが笑いながら美青の頭を優しく撫でる
いつもなら有り得ないその行動も美青は無言で受け入れた
それをされることで目の前に転がる死体は消えないし生き返らない
しかし沢山の命の上に立つ責任を得た
[アクやん早くアジト行こ、なんか嫌な予感する]
隣で真剣な表情の美青をチラッと見てアクスアも戦うときの表情に戻る
[そうだな...オレもだ]