たった一つの真実 2

 2007-04-07投稿
閲覧数[288] 良い投票[0] 悪い投票[0]

『夏 2』

「はじめ、ありがとう」
宏介は、仕事を終えると
いつものように寮に帰るマイクロバスに乗り込んでいった。

僕は、宏介とは違い自宅から車で通勤している。
いつもは 僕もすぐに帰路に つくのだが、その日は違った。

宏介と話しをしたり 仕事を一緒にしたり。
そう、何かが違っていた。
僕は、マイクロバスの乗り入れ口から 顔だけを中に入れ宏介を呼んだ。
「宏介さん、ちょっといいですか」
バスの中でいつものように冗談を言っていた 宏介は別に 驚いた様子もなく「どうしたんや」
と降りて来た。
「あのう…送りますよ」
「はじめ なんや悩みか」「いや違います。今日 お袋 家にいないんで飯でも一緒にどうかと思いまして」
僕は、嘘をついた。

宏介は ニッと笑うと僕の車の助手席に乗り、今まで見たことのない程の笑顔で喋り出した。
「シビックかぁ 速いんやろ これ。」
僕は、返事の変わりにほほ笑んだ。
宏介は、まるで初めて車に乗る子供のように見えた。
そんな宏介を見ると僕も何だか嬉しくなり心から笑っていた。

夕飯は、寮に近い定食屋で食べた。
「はじめ、うまかったな
久しぶりに友達と一緒って感じで うまかった」
食事が終わっても まだ話しの続きがしたかった。
仕事の話しだったが、宏介がすごく楽しそうに話すのが印象的だった。

「はじめは彼女 いてるんか」
「いませんよ。 宏介さんは」
宏介はこの僕の質問には答えず、彼女のいない僕に一杯 奢ると作業着のまま 近くのスナックへと連れて行ってくれた。

「あら、宏介さん いらっしゃい」
ママに若い子一人と小さな店だが 客も店の者も 宏介の事を知っていた。

「はじめ、街外れの店やと馬鹿にできんやろ」
女の子が 失礼ね っと宏介を睨み 僕にほほ笑む。 たしかに まんざらでもない。

宏介はこの初めての時も安物のウイスキーを飲んでいた。
「はじめ、同じでいいか」
僕も宏介と同じウイスキーにした。ただ、宏介はロック 僕は、水割りにしたけど。

「ちえちゃん、はじめに友達 紹介してよ」
「宏介さんたら、いいわよ今度友達 連れてくるから食事おごって。」
宏介は、簡単に女性との約束をとりつけた。 宏介の何かに僕は、魅せられて行くのが分かった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 幸 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]
ツルツル×脚痩せ
効果抜群↑ソルト


▲ページトップ