天国からのラブレター

あい  2006-02-02投稿
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あの日は朝からずっと雨だった。空は暗くて、見ているこっちまで気が滅入ってしまいそうな天気。そんな日に俺の最愛の人は逝ってしまった。笑顔がかわいい人だった。お日様の下がよく似合う人だった。泣き虫な人だった。俺のことを心配して泣いてくれた。俺にはもったいないくらいの綺麗な涙をながしてくれた。強くて優しい人だった…。俺は彼女が最期に言って言葉を何度も何度も繰り返した。「どうか泣かないで。私はあなたが泣くのを見るのが辛いから。胸が痛くなるから。私の事で泣かないで。笑って私を見送って。」
彼女は綺麗な綺麗な涙と笑顔を同時に見せた。俺が今まで生きて来た中で、この世で、一番綺麗なものはこれだと思った。俺は泣かなかった。笑顔で彼女を見送った。手を握って、力強く握って。ちゃんと握っていないと消えてなくなってしまう気がしたから。ゆっくり彼女は目を閉じて永遠の眠りについた。覚める事のない眠りに。どうか彼女が幸せな夢を見られますように…。
彼女の死から数日がたち、俺は日常に戻った。空虚な思いが胸の中を支配していた。俺は結局涙を流す事はなかった。流れなかった。何故かはわからない。
郵便ポストに手紙が1通入っていた。白い封筒。部屋に入り封を開くとふわりといい香りが香った。
『大好きなあなたへ。』
それは有り得ない人からの手紙。見慣れた彼女の字を僕は必死に読んでいった。
『約束は守ってくれていますか?あなたには笑顔が一番似合うしその笑顔にいつも助けてもらったから見られなくなるのはとても悲しい。いつかこんな日が来ると分かっていた…きっとあなたは辛い思いをするだろうと分かっていました。それでもあなたから離れられなかった。離したくなかった…。こんなずるくてワガママな私を許して…許してくれなくてもいいわ。あなたがいてくれたから私はあなたに生きる力をもらったの。ありがとう。あなたが側にいてくれてありがとう。大好き。』
彼女からのラブレターだった。天国からの。この時俺の目から涙がこぼれた。
「ありがとう…君を嫌いになったりするもんか。俺も君の笑顔に何度も助けられたよ…。」
ありがとう…大好き……

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