力也は半国営企業の警備派遣会社『G・Rエージェント』の社員だ。
そして力也が所属する『特別一課』通称特一は政治家や要人のボディーガードや内乱時の治安維持活動など公務員的な仕事から暴力団の壊滅作戦や海外からのスパイの監視や暗殺など多種多様な任務をこなしている。
力也は特一のオフィスに入った。すると既に課長席の前には4人の男が集まっていた。
「黒川着たか。悪いな急に呼び出して。」
特一の課長であるちょいワルな雰囲気の武将髭を生やした中年の男、田村義和が力也に声を掛けた。
「さてと・・・これで全員集まったな。電話でも話したが君達には第一級任務をやってもらう。この面子を見れば判ると思うがかなり重要な任務だ。」
ここにいる5人の社員は特一の中でも5本の指に入る精鋭達だった。
「それで任務内容は?」
黒川が義和に聞いた。
「民自党と公民党の幹部の秘密会合が18時から王都ホテルで行われる。実は襲撃予告が出ていてな加部総理からの依頼だ。実弾及び戦闘魔法、魔力武器の使用は許可されている。任務時間は17時50分から21時までだ。あと・・・黒川は翼を隠さずに行け。」
「やはり・・・だめですか・・・」
「悪いが依頼主は総理大臣だ。人間だと嘘をつく訳にもいかない。悪いが辛抱してくれ・・・それに魔法を使うとき羽根を広げる事になるからバレる。」
義和は本当に申し訳無さそうに言った。義和は力也の事を偏見せずに一人の白翼人として認めてくれる数少ない人物なのだ。
「判りました・・・」