シュウジの家を出ると軽く雨が降っていた。すぐ止むだろうと思って歩き出す。
雨がどんどん私を濡らす。予想に反して雨足が強まってきたみたい。
制服濡れちゃうな…。
私の頬を水が伝う。
雨が冷たい。
でも私は気付いてる。
頬を伝う雨に混じって
涙が流れてることを。
シュウジの骨張った男らしい手が好き。
ふいに見せる優しい目が好き。
キスのときの挑発するような目も
ベッドの中での掠れた声も
全部すきだよ。
それは全部私のものじゃないのにね。
いきなり「もう会わない」なんて、シュウジどう思ったかな?驚いてたけど、引き止めようとはしなかったよね。
つまり、それが答えなんだ。
雨が降ってくれて良かった。泣いてても周りにバレない。でも、さすがにこんなずぶ濡れで歩くのはちょっと恥ずかしいな。もう少しで大きな通りに出る。そしたらタクシー拾って帰ろう。
そんなことを考えてたら
突然左手が引っ張られたのに驚いた。
と同時に
シュウジの腕が私を包んだ。