ムサシの両親は戦争で死んだ。ソウジの両親は行方不明。たぶんすでに死んでいるだろう。イゾウの母はドラゴンに犯され、殺された。父親は、妻を見殺しにしたアカツキを恨み、ゲッコウへ移った。イゾウが父親の後を追わなかったのは、ムサシの説得と、アカツキへの忠誠心からだった。イゾウは人一倍アカツキを愛していた。
アカツキのリーダー、マコト。ムサシ、ソウジ、イゾウを剣士へと育て上げた男。彼への強い憧れが、イゾウの、アカツキへの異常なまでの忠誠心を生んだ…
三人が剣士となって三日後、アカツキの領地に、約三十のナイツの少隊が攻め入った。偵察隊隊長のハルによると、敵は境界線付近の小さな集落を襲い、食料や女を略奪しているらしい。
「行かない方がいい。罠だ…」
偵察二番隊の隊長、ユキマサが偵察から戻り、静かに口を開いた。
「奴らの後方1キロ付近に敵の本隊が潜伏してる…こっちの領地の中じゃこっちが有利だ…境界線付近でこちらの先陣を潰して一気に攻めてくるつもりだろう…」
ユキマサの見解を聞いたマコトは、部隊を三つに分散し、挟み撃ちにする作戦をとった。
ムサシ、ソウジ、イゾウの初陣である。