私が出会った中でも狂気に溢れた方が居ましたのでその方を…
名前は夜那河(やながわ)と云う男でした。野心が強い方でした。ですが、貧乏なのでよく物を盗んではまた盗んでいました。
そして、盗んだ中に私が居たのです。夜那河は特に気にもとめませんでした。私は其の男を暫く観ることに為ました。
そして夜那河に話かけてみました。余程神経が図太いのか驚きも為ません。
『彼方は力が欲しいですか?』
『…くれるのかよ』
『条件付きですが。其にしても彼方は驚かないのですね。』
『一々驚いてられるか。…其より条件って何だよ』
変わった男だな。しかし、そうでなくては楽しくない。
『何黙ってるわけ。話聞いてやってんだから早くしろ』
『彼方の躰をいただきます。返して欲しかったら最後には返しますが、其の時は地獄を観ますよ』
『良いぜ』
『契約成立…ではまた明日の晩に』