女性と青年の狂わせた運命

宮元庄司  2007-04-10投稿
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決着を着けるためだ。
あの人は私にそう言っていた。
突然の爆破テロ、それは一瞬で当たり前を壊していった。
一人取り残される少女は中半諦めていた。あの人を見るまでは。 燃え盛る豪火は少女を囲み、生きる気力を奪って行く中、少女は見た。
銀の一閃が炎を切り裂き、崩れてきた瓦礫を一瞬にして砂と化した。
周りが紅蓮の中、彼だけがこの場から断ざれていたように見えた。
彼の第一声は今でも覚えている。
『ガキか』
まるで期待を裏切られたようだった。
声はいかにも男で、だけどまだあどけない。今、彼は黒いコートを来て、フードをすっぽり被っている。
『たすけ・・・』
声がかすれている。目の前が霞んでゆく。 『分かってるよ・・・ちゃんと助ける。その前に決着でもつけようじゃねぇか。そうだろ?ガーレン!』
意識が薄れる中、少女は確かに見た、炎の中から現れた黄金色の鎧をつけた人を。
そして彼女は、目の前が真っ暗になった。 そんなことは知らぬ少年は腰に掛ける刀を手にかけた。
今まで何度取り逃したことか。だがこれで最後にしたいものだ。 『アー・・・ティー』
鎧の"声"だった。
鎧の声は人が喋る声なんかじゃない。
耳で聞くではなく心に響く。それが鎧の"声"だった。
『るっせぇよ。潰すぞ。もっとも、嫌だって言われても潰すけどな。』
一筋の炎の魔の手が少年を襲う。が、魔の手は彼に触れることは許されなかった。刹那にして、魔の手を二つに裂いたのだ。
どれも常人ならば見えない一閃。ならこの鎧は?こいつは見えているだろうか。
分からない。どの戦いも鎧は全力で戦うことはなかった。
今回はどうだろうか。
今回の派手さから見て生半可な覚悟じゃないだろう。
この火災の犯人は目の前にいる。この鎧が!
『さっさと終わらせて飯にしようぜ!』
少年は鮮やかに刀身を引き抜いた。




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