航宙機動部隊46

まっかつ  2007-04-10投稿
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パレオス星邦の代表たるペアリーノ=グイッチャルディーニ議長に取っては、正しく最悪を極めた展開に見舞われたとしか言い様がない分だが、同時にこの事態を最大限プラスに転換しようと試みるだけの機転に満ちた政治的構想力を、彼は持っていた。
『お前も来いってよ。テンペ。どうやら議長はハッキング経路までお見通しらしい』
悲しいまでにリクにはメール元の考えが読めてしまう。
そしてより哀しむべきは、今の彼にはそれを拒否するだけの力量が備わってはいないと言う事実だった。
二人の内、少なく共少年の方は色々有り過ぎて、もう三0時間以上も眠ってない。
それでも文字通り目を擦りながら、彼は国家監察官と連れ立って、指定された料理店へと向かった。

そこは別荘地を思わせるやや小振りの閑散とした区画だった。
遊歩道の左右に並ぶ住宅群の一つにかれこれ三0分強をかけて二人は到着した。
『急な呼び出し、すみません』
どうやらこの辺りは要人達がお忍びで使うらしい。
木製の手動ドアを開けると一番奥の席から、星邦議長が立ち上がってすぐさま挨拶をして来た。
観戦武官首席達も答礼して彼の所へ向かった。
『既にご存知でしょう―太子党の振る舞いを。これはいささか困った事になりましてな』
丸テーブルの反対側に座った二人に議長は本題を切り出した。
いささか所ではない。
帝国の侵寇によって刺激されたパレオス星民のナショナリズムが、更にこの不祥事で間違った方向へと暴発しかねなくなっている筈なのだ。
そしてそれは今リク達の目の前に座る星邦議長の政治生命・場合によっては肉体的生命すら終焉させかねない危険にすら繋がっている。
結果として彼等太子党をこの地へ呼び込んでしまったのは他でもなく彼なのだから…
パレオスは辺境の星だ。
マスコミも司法も世論も既に異域からの乱暴者を懲罰すべしとの論調で沸き立っている。
当然かつ正当な反応だ。
そしてそれは中央域文明圏の習慣や事情を知らぬがゆえの反応でもあった。
要するにここでも歴史観・価値観上の衝突が始まろうとしているのだ。
戦艦同士の撃ち合いよりも、それは余程質が悪い争いとなるだろう。
『星間諸侯太子党に対しては、これは毅然とした姿勢を貫かなければなりません』
グイッチャルディーニ氏に逃げる選択は残されてはいない事は確かだった。

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