アルラという国に愛を知らずに育ったお姫様がいました。お姫様の名前はシーラ。シーラの両親である王様とお妃様はシーラが生まれたときがっかりとした顔で呟きました。「なんで男の子じゃないんだ」王様とお妃様は男の子が欲しかったのですが代わりに生まれたのは、女の子。シーラでした。王様とお妃様にとってはシーラはいらないこどもでした。いらないこどもを授かった王様とお妃様はシーラの子育てを召使いに押し付け、シーラが生まれた5年後に誕生した王子ばかりを可愛がりました。シーラはそれが寂しくてしかたありませんでした。王子を抱いているお妃様のドレスの裾を握るだけで頬をひっぱたかれました。「なにをするの!!私にさわらないで」シーラはその言葉にショックを受けました。(お母様、私なんにも悪いことしてないよ。ただお母様に抱き締めてもらいたいだけなの。なのにどうして怒るの?お願いお母様私のことも見て王子ばかり見ないで)悲しみにくれるシーラを慰めてくれるのは召し使いのセバスチャンやメイドのアイサだけでした。セバスチャンとアイサは両親に愛されてないシーラをかわいそうに思い自分のこども同然に育てました。シーラは自分を可愛がってくれるこの二人が大好きになりました。両親に愛されない寂しさをこの二人はシーラを可愛いがり慈しむことで埋めてくれました。ある日、シーラの10歳の誕生日にセバスチャンとアイサはシーラにとびっきりのプレゼントをくれました。悲しみ「姫様、お誕生日おめでとうございます。」「ありがとう!セバスチャン、アイサ。ねえそれなあに?」シーラはセバスチャンが背中に隠しているプレゼントが気になってしかたがありません。セバスチャンがシーラの目の前にプレゼントをだしました。セバスチャンのプレゼントはとっても可愛いブロンドの髪と緑の瞳が印象的なお人形でした。「まあ、何て可愛いの。ありがとうセバスチャン。アイサのプレゼントはなあに?」アイサは窓を開けシーラに微笑みます。「もうすぐ来ますよ姫様」「え?」すると、部屋の中に太陽の光を溶かしこんだような眩しいくらいきれいな毛色のカナリアが飛込んで来ました。「まあ、なんてきれいなカナリアなの」アイサはシーラの喜んでいる顔を見て少しだけ悲しそうな顔をしました。シーラはまだ知りません。このカナリアが自分の運命を大きく変える出来事の始まりだということを。