「アレ…」
どうやら病院の一室のようだ。 幼なじみの都がいる。父も母も。弟の良平も。
そして、頭に包帯を巻いた男。
「俺だ…」
俺が俺を見下ろしている…
「修ちゃん…」
都のすすり泣く声が聞こえる。都だけではない、みんな、酷く落胆しているように見える。
ベッドに横たわる修平の顔は青ざめ全く生気を感じることができない。横の医療機器のモニターに映るバイタルの微かな波打ちにより辛うじて息があることが見て取れる。
まだ、事態を把握できない修平の耳に微震動のような小さな声が聞こえる…
「まだ…だめだ…」「何を…規模…」
微かに聞こえる声は複数の人間が口論をしているように聞こえる。
その時、修平は強い力に引き込まれるような衝撃を感じ、ベッドに寝る自分がいるその場から、どこか異空間のようなところに飛ばされる。
修平は事故にあった。いつものように部活動を終え、家に向かう帰路の途中、川沿いを自転車で走っているところを死角から出てきたバイクに跳ね飛ばされたのだ。その後、意識不明のまま病院に搬送された。
そしてまた、修平は自分の部屋とも病室とも違う別の場所へ
そこは会議室のようなところ。修平を挟み数十人の人間が並ぶ。この異質な場所で一体何が行われているのだろうか…