baseball〜夏を目指して〜2

導夢  2007-04-11投稿
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土曜日の午前

明日はとうとう決勝戦が始まる。
相手は選抜優勝校の葉月高校。4番は3年の藤谷で、1年の時から4番を任されている高校屈指のスラッガー。こいつをいかにして攻略するか…。
捕手の細波が駆け寄り口を開く。
「オイ、雄二!今日は軽めの練習っていっても、もうちょっと気合いの入った球投げてくれ」
「あぁ。高志、スマン」
ボールがミットに収まる気持ちいい音が響く。
細波高志。俺と同じ2年で、実力で正捕手の座をもぎとった頼りになる存在だ。
「いいぞ。その感じで投げてくれ」

昼前になり監督が号令をかける。
「よし!今日は終わりだ!全員集合しろ!」
部員全員がマウンドに集まり整列する。
「全員分かっているとは思うが、明日の決勝の相手は選抜優勝の葉月高校だ。間違いがいなく強い。しかし、ここまで勝利を重ねてきたお前達の全力をぶつければ、十分に勝てる相手だと信じている。いいか!絶対に勝って甲子園に行くぞ!」
「ハイ!!」

ロッカールーム
沢山の部員が着替え、聞こえてくる話題のほとんどが明日の試合についてだった。その話題の一つがここでも持ち上がる。

「明日は頼むぞ」
隣のロッカーの細波が声をかけてきた。
「こっちこそ頼む。ここまでこれたのもお前のリードのおかけだ」
「なに言ってんだ。リードがいいのは当たり前だろ」
「オイ」
思わずツッコミがはいる。
「冗談だよ」
「ったく」
先に着替えが終った細波は
「それじゃ、お先。」
「あぁ」
すれ違い様に細波が言った。
「俺は、お前の投げる球が良かったからだと思ってるからな」

振り向くと、ロッカールームのドアを開け、出ていこうとしている細波の背中が目に入った。
「高志」
細波は振り返らず、右手を挙げて出ていった。

「…ったく」



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