春の麗らかな雰囲気が郊外を染める4月初旬。
俺は入学した県内の中堅私立高校へ足を運んでいる最中なのである。
その高校は片道電車で約26分、徒歩13分という近いとも遠いとも言えない中途半端な土地に聳え立っていた。
本当は自宅から徒歩10分で通学出来る某有名私立大学附属の高校に入学したかったのだが如何せん俺にそのような附属高に合格出来るような頭など微塵もなかったわけで
2年後にはまた昨年度に経験した受験生ライフが再び避けて通れぬ道に立ち塞がっているのかと思うと
春の麗らかな陽気に対照的な陰気をブレンドした中性的な気分になる。
全く、俺は晴れ晴れしい入学式の日に何を考えているんだ。
これから始まる3年間のハイスクールライフはそんな負の出来事ばかりじゃないはずだ…いやそう願いたい。
トレンディー学園ドラマにあるような個性的な仲間やエキセントリックな校長やグレートな教師の登場を願っているわけではない。
異彩を放つアバンギャルドな主人公になるつもりもない。
俺は極めて普通の現実的なハイスクールライフを送れたらそれでいいのさ。
そんな未来予想図を模索している合間に正門前に着いちまった。
それでは行くとするか