炎を身に纏った牛型グルド『バウロス』の次々と繰り出す突進攻撃をディア=パノスが紙一重で回避する。
そしてバウロスの動きが後方支援の攻撃により少し鈍くなった時、ディア=パノスは背中のタブルトマホークに手をかけた。
龍雅(出力全開!!)
龍雅は例の如く、左足元に取り付けられた小さなボックスを開けて五つある補助ジェネレータのスイッチを全てonに切り替えた。
するとバウロスの攻撃を回避し続けるディア=パノスの各間接部に取り付けられたダクトから辺りを覆い尽くす蒸気が立ち込め、バウロスは蒸気のせいで辺りが見えなくなり動きをとめた。
同時に後方支援にまわっていた部隊はその特異な状況を警戒し、攻撃を止めた。
その次の瞬間であった。
何かがバウロスの右側面を駆け抜けたかとおもうと既に右側の角は切り落とされ宙を舞い、右の前後足とも切断されてしまったのだ。
バウロスは右側に崩れ落ちた。
バウロス「ングウゥグウオオオ!!」
バウロスは自分の身に何が起こったのか、理解することが出来なかったようだ。
そんなバウロスの前にダブルトマホークを構えたディア=パノスが立ちはだかる。
しかし、バウロスの目は死んでおらず足を切断されてもなお立ち上がろうとしていた。
その姿からは狂気が感じられ、周りのパイロットからは恐れおののく者さえ出ていた。
ディア=パノスは少しづつ間を詰めていった。
追い込まれたバウロスもディア=パノスとの間合いを伺い、少ないながらも勝機を狙っていた。
そしてディア=パノスがバウロスの間合いに入った次の瞬間であった。
バウロスは渾身の力でディア=パノスに向かって飛び出した。
ディア=パノスはその攻撃を待ち構えていたかのようにダブルトマホークを縦に構えてバーニアを全開にし、バウロスに向かっていった。
ディア=パノスは攻撃を紙一重で回避すると勢いを失ったバウロスは地面に突っ伏した。
それと同時にディア=パノスは上空に舞い上がり、バウロスを上から一刀両断に切り捨てた。
バウロスは最後に声にならぬ悲鳴をあげて絶命した。
龍雅「敵が巨体な故に助かった…もう少し俊敏ならこの俺でも…」
「甘すぎるぞ!峰崎龍雅!!」
突然聞こえた声に反応し上を見上げるディア=パノス。
そのビルの屋上には青髪の男ハーツの姿があった。