何が起きたのかわからなかった。
ただ私を抱き締める温もりと雨の音だけがリアルだった。
「……んで…なんでいきなり別れんだよ…」
息をきらしたシュウジの声。
そうか、シュウジが私を追いかけて来てくれたんだ…。
「オレなんかした?なんかダメだった?」
なんで?
なんでそんなこと言うの?
私なんかただの浮気相手じゃん。
そんなこと言われたら勘違いしちゃうよ。
…期待させないでよ。
「…シュウジは何もしてないし、何もダメじゃないよ。…私がもうダメなんだ…」
さっきまでの雨の冷たさが消えて、代わりにシュウジの体温を感じる。
もうこれだけで満足だよ。
シュウジが追いかけて来てくれた。
そして抱き締めて、私との別れがイヤだって言ってくれてる。
もう充分しあわせ。
「なに?なにがダメなの?なんかあった?」
体を離して私の顔を覗き込み、心配してくれてる。
なんか…もういいや。
胸がいっぱい過ぎて苦しい。
「私…シュウジに嘘ついてた」
苦しみから解放されて楽になりたい。
そのためには
シュウジに告白するしかないんだ。
いつの間にか雨は止んでた。