約束の場所へ 序章 再会2

森山  2007-04-11投稿
閲覧数[158] 良い投票[0] 悪い投票[0]

土手を少し見て回ると
登り口はすぐに見付かった

いや…
もはや登り口とは呼べぬ状態になっていた。

草木は伸び放題
土手自体も風化して
以前とは違う形相を見せている。

ただ記憶の片隅に微かに残る当時の様子と
現在とを照らし合わせ
特徴の一致する箇所を見付けて
それだと分かったのだ。

そして第一歩を踏み出す。

自然遊歩道の類でも無く
元々道らしい道でもなかった。

林の中は日差しが届かないため
異常なまでに湿度が高く
必要以上に俺の体力を奪っていく。

ふと当時の記憶が蘇って来た。

俺は彼女が愉しそうに登っていく後ろ姿を追い
後ろから着いて行く。

彼女は時々振り返り
俺が居る事を確認しては
また登っていく。

彼女は幸せそうだった…
そんな彼女を見て一緒に居る俺自身も
また…とても幸せだった。

一本道なので迷う心配は無い。

程なくして木々の密度が低くなり
周りの景色が木々の合間から見えるようになってきた。

水平線も随分と低い位置に見えている。

そしてついに林を抜けた。

そこは斜面がそのまま空へと伸びる丘だった。
もちろん、空に繋がっているわけでは無い。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 森山 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ