1年間友だちとして過ごし、免許も取得できた頃だった。
私たちはやっと携帯番号の交換をした。まだ他社の携帯同士でメールができるかできないかの時代だったので、何か用事がない限りプライベートで連絡を取り合うことはなかった。
私とフミの間には一人の男友だちがいた。私とは小学校の同級生。フミとは高校の同級生でヤスと私たちは呼んでいた。
時々飲み会で3人かたまって話すことはあったが、私と二人の距離は一定のまま、ただの友だちだった。
私とフミの関係が変わり始めたのは、フミの家族が問題を抱え始めたころだった。
フミは毎日悩み、苦しんでいた。
ある時、バイト中にフミが私にその悩みを打ち明けた。私はフミが少しでも楽になれたらと話を聞いた。
それからよく二人で会う事が増えていき、私は初めてフミを意識するようになった。
しかし、お互いに今一歩進まず、じれったい日が続いたのだった。
そして、夏の日。
花火大会の日だった。
私は事故を起こし、ケガをした。
全身の痛みと精神的にもショックで、気持ちが沈んでいた。
何日かして痛みが治まった頃、フミから電話があった。
優しい言葉に涙が出た。
フミの優しさは誰にでもある優しさだと思っていた。
それでもよかった。
私はフミの側にいたいと思った。