航宙機動部隊48

まっかつ  2007-04-12投稿
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テンペ=ホイフェ=クダグニンは飲みかけのグラスをテーブルに戻して喜色を露にした。
『私で宜しいのですか?』
『どうでしょう?観戦武官殿。テンペ殿をお借りしても?』
グィツチャルディーニ氏は実に神妙そうにリクに許可を求めて来た。
『彼女が…望むなら』
断り様がない。
相手は卑しくも一国の代表だ。
その当人が三世代は下の少年にここまで辞を低くして頼んでいるのだ。
それが例え星間大国たる共和国宙邦《グルン》を反貴族派に付ける為の政治的思惑からなされた物であったとしても…
そう、この時点でリクとテンペは星間諸侯太子党とパレオス星邦との対立に巻き込まれてしまったのだ!
『彼女の身辺は責任をもってお守り致します』
実質会合は出された料理の七割五分と百分弱の時間とを消費して終了した。
まだ用事が残ってるらしい星邦議長は、二人を送り出すに際してこう請け負った物だ。
今となってはその言葉を信用するしかなかった。
ドアを開けて二人が街路へと通ずる赤レンガ畳に歩を進めると、入れ違いに同数の男達とすれ違った。
お互い軽く会釈を交し、彼等はそのままレストランへと入って行く。
見た所どこかの代議士とその秘書、と言った所か。
星邦議長の活動力は疲れを知らないみたいだった。

大使団村へと街路を急ぐ中、リクはしばらく押し黙ったままだった。
対してテンペの方は呑気な物だ。
『やったー!こんなに早くチャンスが巡ってくるなんて!やっぱこれは日頃の行いが良いからだわ!』
『おいテンペ』
『何?』
『急いで帰るぞ。俺はもう寝る。それから八時間後俺の離れの前で待ってろ』
観戦武官首席はそう言って足のピッチをますます上げ続けた。
『何で?』
『てめえを教育するんだよ!それ以外に何があるんだ?良いか?公衆の面前で恥ずかしい真似してみろ?俺がてめえをぶちのめして、病院船で中央域送りにしてやるからな』

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