一階、コーヒーの甘い香りが漂う職員室に入る。
「おぉ!珍しく大桑じゃないか!どした?文化祭の出演登録か?」
生徒指導部の織田だ。
ヒゲが濃く、絡みずらい奴。
「今年もバンド演奏やるのか?杉原と坂本の三人で。」
「いや、あいつら受験勉強に専念するらしい。」
ボールペンをアゴでノックしている。
「じゃあ今年はソロでやるのか?」
「いいや、海山と。」
ノックする音が途絶えた。
「海山ぁ!?だってお前海山のこと・・・」
喉元まで出かけた言葉を飲み込んだのがわかった。
(海山のこと イジメてるんじゃないのか)
「はやく登録してくれよ。昼休みが終わっちまう。」
「あ・・・あぁ・・・。」
引き出しから登録用紙を出し、ボールペンをノックした。
代表者
3年5組 大桑 亮也
メンバー
3年6組 海山 明光
チーム名
「おい、バンド名はないのか?」
忘れてた・・・。
勝手に決めちゃってもいいよな?
♪♪♪⌒♪♪♪♪⌒♪♪♪
・・・屋上からアケミツの歌声が聞こえてきた。
職員室まで聞こえてくるなんて、すごい声量だな。
・・・でも微かに聞こえる下手くそなギター・・・。
「・・・そうだな・・・バンド名は・・・読み込み中“NOW Loading“ってとこかな?」