グショッグショッ。
生々しい音とともに吹き出す赤い血と、吐気がしそうなくらいの異様な臭いが漂ったこの部屋で、僕は恐ろしいものを見てしまった。人の肉をむさぼり続ける醜いそれは、人食い。本当の名前はアシスで人食いは人の肉を食い荒らすことからつけられたのだという。
この部屋で食われたのは僕の彼女である。だがたいして好きでもない彼女が食われたのだから別にどうってことないが、僕自信が食われるのは御免だ。
人食いがいなくなるのを待ち、恐る恐る居間の扉を開けると彼女の死体が転がっている。血が付いてはいるものの、顔ははっきりと分かり苦痛で歪んでいる。だか、腹部を見ると無惨に切り裂かれていて、痛々しい。
僕は彼女の死体がよく観察したあと、思い出したように電話を手に取る。