私が小学校に入学したころだっただろう…。
ある日曜日の朝、ヒデが初めて彼女を家に連れてきた。とても可愛らしいお姉さんだった。
頭も良く、スポーツ万能、背が高く、サッパリとした顔立ちのヒデととてもお似合いの彼女だった。
私は嫉妬した…。
彼女は来るなり、みんなに挨拶をしヒデの部屋に入っていった。
父も母もなんだか楽しそう。それにくらべて、私だけがイライラしている。そんな私に気付いたのか、父が散歩に出かけようと私を誘った。もちろん、そんな気分にならない私は『行かない』と一言。父と母は苦笑した。
しばらくして、ヒデと彼女が部屋から出てきた。
ヒデ:『ちょっと出かけてくるよ。夕飯はいらないから。』
母:『あまり遅くならないように彼女を帰してあげなさい。』
ヒデ:『わかってるよ。八時には帰るから。』
といった定番の会話がなされた。
私はすかさず、『私も行く!』とダダをこねた。
母:『やめなさい!』
母は怒る。
父:『連れて行ってやればいいじゃないか』
と、呑気な父。
ヒデ:『…。』
困った顔で彼女を見るヒデ。
そこで、彼女が苦笑いで一言。
『いいよ。一緒に行こう!』
私は慌てて支度した。