二人の出会いは今から26年前の中学2年、夏休みに入る前の暑い学校の四階だったと記憶してます
当時の僕は彼女もいない周りからは不良と言われるツッパリ少年でした
そんな僕が学校に行くと誰が言い始めたか[一週間ごっこ]なるカップルゲームが流行り始めていたのです
この[一週間ごっこ]、要はお互いに付き合うのがOKなら一週間付き合った後別れるという子供が考えそうなお遊びゲーム
しかしこのゲームが現在まで引きずる事になるなんて誰が予想できたでしょうか
その日の僕は周りの同級生が次々とカップルになっていくなか、当時溜り場になっていた四階にある二年五組に向かっていました
教室に入るとT子とC子がいて「Kは相手決まったの?」と僕に
C子は相手が決まってたらしくとっとと一人何処かに
一瞬の気まずさを破ったのは僕でした
「T子は相手決まったの?」
「私もまだ決まってなくてさ〜」
僕は自然に「俺じゃ駄目かな〜」と申込んでいました
T子はニッコリと微笑みながら「良いよ」と言ってくれました
このT子、いつも一緒にいる大柄のC子とは違い、背は小さく、笑うと八重歯が可愛いおしゃまな子でした
学校の行き帰りは勿論、休み時間も仲良く一緒いたと記憶してます
恋愛免疫の全く無い僕はこのT子に本当の恋をしてしまうのに時間はかかりませんでした
一週間ごっこの終わる前の日、僕は思い切ってT子に「これからもずっと付き合ってくれない?」と切りだすと、T子の口から「うん」という返事
そして皆に堂々と正式な交際宣言
それからの僕達は人目も憚らずベタベタ仲良くしていました
そんなある日、同級生が或る場所に集まるというので僕達も行くことに
行ってみると、ふざけたゲームが始まっていました
負けたカップルは罰ゲームとして部屋の外でキスをするというのです
何組かが負けキスの儀式を済ませていく中、とうとう自分達にもその時が来たのです
キスの経験が無かった僕は動揺していたんだと思います
どうしても思い出せないので最近T子に確認したところ、あの時の僕は怯えた眼をしながらも、無事「キスしてくれたよ」と聞きました