暇の潰し方8

あこん  2007-04-15投稿
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俺、笠木広人は退屈していた。高校に入って半月ほど経った頃だ。
最初は慣れない環境だったのでそれなりに新鮮だったが、いつしか思っていた。
同じ日々の繰り返しだ、と。
そんなとき、日下部佳奈理が俺に話しかけてきたのだ。

「ちなみにあの時は生クリームイチゴパンを食っててな、それがうまいのなんの。」
「脱線してんじゃないわよ。」
机を挟んで向い側に座る幼馴染、高崎美玖があんぱんをかじりながら半眼になる。
「って!俺のあんぱん!」
一時的に奪われたと思っていた俺の昼飯は、ミクの腹に納まってしまった。
「あ、ああぁぁぁ。」
「…いいから続き話しなさいよ。」
「続きも何もあるか。その日だ、校内モップがけ事件は。」
廊下に撒かれた水で数十人が転んでいると聞いている。
「…なんでその日のうちに一緒に馬鹿やってるかな。」
「…暇だったからな。」
嘘だ。本当の所、日下部が俺と同じ考えだったからだ。
同じ日々の繰り返し。この言葉を日下部も使った。
『それなら、私たちで日常を変えてしまえばいいんです。』
いいかも、と思ってしまった。
そして、日下部と少し騒いでみた。
楽しかったさ、やってるときは。
「…ヒロ?」
さて、そろそろ話を切りやめるか。ミクの後ろから日下部が目を輝かせて忍び寄って来てるしな。
「珍しい組み合わせですねー。」
「ぅえぇ!?」
ミク、驚き過ぎだ。
「珍しくもなんともねーよ、ガキの頃からこの組み合わせだ。」
きょとんとした顔で日下部はミクを見ている。
「あぁ、だからミクちゃんと話していると笠木くんとかぶるんですか。」
「…そーなのか?」
別に似ているところはないと思うがな。
「いや、間の取り方とか似てますよ。」
気にしたことねーや。
「…はっ!ということはミクちゃんも退屈者だったのですか?」
「なんだその造語は。」
「いや、私は別に退屈は…。」
「二人じゃなかなかできないこと、沢山あるんですよねー。」
日下部は何か考えながら離れていった。
確かにミクは俺に似てるかもな、日下部に巻き込まれるところとか。
ところであいつは日常を変える気は本当にあるのかね。毎日暇潰しと称して遊んでるだけな気がするが。
「三人で、なにをするつもりなの?」
「…さぁな、あいつの行動が読めたことなんて一度もねぇよ。」
そして、二人同時に溜め息をついた。



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