由紀の携帯に理花からのメールが届いた。
〔2/20、19時 池袋東口の中央改札に集合ね☆〕
由紀に迷いはなかった。
家族に対しての罪悪感は常に持っていた。
悟と会わない今でも悟への気持ちは変わらない。その想いは家族に対しては後ろめたさでしかない。
悟に触れることも、会うことも、声を聞くことも出来なくていいと思っていた。
ただ一つ、
神様お許しください。
悟の事を愛しいと想う気持ちだけは。
私はそれだけで生きていける。
同じ空の下に悟がいる。
同じ風に吹かれている。
同じ星座を見上げている。
そう、想うだけで…
待ち合わせの時間に悟は15分程遅れて到着した。
改札には由紀が一人たたずんでいた。
由紀もすぐに悟を見つけた。
「寒いのに待たせてごめん。」
悟が先に口を開く。
悟の声、少し伸びた髪、長いまつ毛、くっきり二重まぶた、あごのホクロ。
…愛しい…
でももう泣かない。
「みんな、先に店行くって。行こ。」
並んで歩いても、手を握る事も肩を抱く事もできない。
悟は拳に力がはいる。
触れたかった。
それでも、耐えなくてはならなかった。
由紀の目にたまった涙。
由紀が必死に耐えている事に気がついていた。
由紀の決心を揺るがすことは出来ない。
それが由紀の為でもあり、なにより自分の為だから。
「由紀。」
「…ん?」
「由紀には幸せでいてほしい。」
「…うん。」
「笑顔でいてほしい。」
「うん。」
由紀がはにかんだ。
悟はホッとした。由紀の笑顔が好きだった。
その笑顔を目に焼き付けた。
「ずっと想ってる。だからたまに俺の事思いだして。」
悟の言葉に、涙があふれた。
「ありがと。悟。ありがと…」
「ほら。泣くと化粧崩れるぞ!
行こ。」
「うん。」
おわり
最後まで読んでくれてありがとうございます☆
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カトリより