最後の嘘終

カトリ  2007-04-15投稿
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由紀の携帯に理花からのメールが届いた。

〔2/20、19時 池袋東口の中央改札に集合ね☆〕

由紀に迷いはなかった。

家族に対しての罪悪感は常に持っていた。

悟と会わない今でも悟への気持ちは変わらない。その想いは家族に対しては後ろめたさでしかない。


悟に触れることも、会うことも、声を聞くことも出来なくていいと思っていた。

ただ一つ、
神様お許しください。

悟の事を愛しいと想う気持ちだけは。

私はそれだけで生きていける。

同じ空の下に悟がいる。

同じ風に吹かれている。

同じ星座を見上げている。

そう、想うだけで…




待ち合わせの時間に悟は15分程遅れて到着した。

改札には由紀が一人たたずんでいた。

由紀もすぐに悟を見つけた。

「寒いのに待たせてごめん。」

悟が先に口を開く。
悟の声、少し伸びた髪、長いまつ毛、くっきり二重まぶた、あごのホクロ。

…愛しい…

でももう泣かない。
「みんな、先に店行くって。行こ。」

並んで歩いても、手を握る事も肩を抱く事もできない。
悟は拳に力がはいる。


触れたかった。
それでも、耐えなくてはならなかった。

由紀の目にたまった涙。
由紀が必死に耐えている事に気がついていた。

由紀の決心を揺るがすことは出来ない。
それが由紀の為でもあり、なにより自分の為だから。

「由紀。」

「…ん?」

「由紀には幸せでいてほしい。」

「…うん。」

「笑顔でいてほしい。」

「うん。」

由紀がはにかんだ。
悟はホッとした。由紀の笑顔が好きだった。
その笑顔を目に焼き付けた。


「ずっと想ってる。だからたまに俺の事思いだして。」

悟の言葉に、涙があふれた。

「ありがと。悟。ありがと…」

「ほら。泣くと化粧崩れるぞ!
行こ。」

「うん。」



おわり

最後まで読んでくれてありがとうございます☆
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カトリより





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