その日私たちは罪を犯した。先輩と別れて家に帰ってから、私はどんどん後悔している自分に気がついたんだ。どうしよう…そんな思いが心の中でずっとわだかまっていた。越えてはいけない一線を越えてしまった。先輩は優しく私を抱き締めてくれた。先輩…私のこと好き?言ってよ…言葉にしてくれなきゃわかんないよ…。まるで欲しいものが手に入らない子供みたい…。私の中で焦燥感だけが日々増して行く。そしてある日、私は先輩にこの思いをぶつけてしまった。
「先輩…私のことどう思ってるの?」
「かわいいよ。」
「そうじゃないよ。私のこと好き?嫌い?」
「好きじゃなかったら抱いたりしない。」
初めて私に好きって言ってくれた。私が一番欲しかった言葉。
「じゃあ…私を彼女にして…。」
「……それはできない。」
「どぉして…?」
「俺は今の彼女のことも好きなんだ。だから付き合えない。ごめん…。」
「そっか……」
現実って辛い。自分の思い通りになんていかない。でも実際そうなんだから受け止めなきゃ…私の頭の中は予想していたより冷静で、涙は流れなかった。もしかしたら私は先輩が私だけを見てくれてはいないとわかっていたのかもしれない…。