…今日もまた、いつものように人を刺した。あぁ…この快感が僕の心を癒してくれる唯一無二のもの…
僕は何かを切る事が好きだ、何歳くらいだろうか…『切る』という行為に快感を感じ始めたのは。
そんな事を考えながら地面に転がる死体を見つめた。
マグマのように吹き出していた深紅の水は今ではもう固まりかけていた。
僕はなんでこんな人間に生まれてきたのだろうか…ナイフをもっている右手を思い切り自分の右股に突き刺した。
薬のせいか刺した感触すらまともに感じなかった。
肉体的感覚だけでなく、人としての感情も失ってるのだろう。それに僕の前を通りすぎる人間を平然と刺し殺す僕はもう人間ですらないのかもしれない。
血が滴る右足の止血をし、僕は家に向かった。
錆び付いた鉄の階段を上り、扉を開く。
返り血を浴びたコートを着たままソファに倒れこむ。
僕はまぶたを閉じた。
うぅ…頭が割れそうだ
ガンガンする。今まで殺してきた何十何百もの人間の顔が僕を囲む。
口々に僕を罵り、僕の体を次々に噛みちぎる。熱い…熱い…
はぁ、はぁ、はぁ…
僕は飛び起き引き出しを乱暴にあさる
どこだ!薬は!どこだ!
包み紙を引きちぎり錠剤を口に押し込んだ。
はぁ、はぁ、…うっ、……
ふぅ…
僕が生きている意味はあるんだろうか。 薬がなくては生きていけず、人を刺し殺す事が唯一の癒やしである僕が。
そして僕の物語は後に7年間だけ続く。
切り裂きジャックとして…