目を覚ますと、視界に猫が映しだされた。
そいつは俺の顔を覗きこんでいたようだが、驚いてすぐ顔を離し、
何と。
「お目覚めですね」
と人の言葉を発して、
(俺はその猫を、目を見張って見た。)
更に、
「これから、よろしくお願いします」
と、にこりと笑って、小さく頭を下げた。
(続けて俺は、口もポカンと開けた。)
「・・・・・・・・」
だが笑いかけられても俺は何も言えず、でも何か言おうとして、
「・・・・・・・っ」
結局、アホ顔のまま、
何も言えなかった。
やはりまた、
「ところであの、ずっとそのままでは、疲れてしまいませんか?」
と、喋る猫が(俺から何か言わないかと待っていたが、今俺は何も言えない状態になってしまっている事を察したのか)俺に話して、
「・・・・・・・ぁ」ようやく自分が仰向けで寝転がっている事に気が付いた。
「ぃよっ」
と、勢いをつけて上半身を起こした俺は、
今自分がいる所とその周辺を視野に入れた。