「君は、もう一つの世界で誕生せなばならない。信じられないかもしれんが、君はもう一つの世界で特Aクラスの重要人物として生を受けるのだ」
「特Aクラスともなると一国家の存続さえ左右できるほどの力を持った人物、君の場合は超特Aクラスと言っても過言ではない。何故なら…」
しばしの沈黙が辺りを覆い自分のすべき役割の大きさを修平は悟らずにはいられなかった。
「失敬、何故なら君は長く続く戦争に終止符を打つことが出来る唯一の存在なのだ。君のいる世界とは別のもう一つの世界では半世紀に渡り各地で大規模な争いが起きている。その理由は宗教的な信仰の違い、君の世界で言うキリスト教とヒンドゥー教が対立しているようなものだ」戦争を終結させる?そんなこと俺が?いや…正確には俺じゃないのか…
「本来ならば今すぐにでも君に新たな誕生をむかえてもらわなければならないのだが、一つ問題が生じている」
問題?まだ何かあるのかよ…
「残念ながら君が死ぬことは事実、決定事項。しかし、それにより君の周りの人間に多大な影響を与えてしまうのだ」
「こんなことは今までに例の無い事。通常人間が死ぬとき他人に残るものは悲しみのみ。その人間の死により他者に大きな影響を与える場合には、その人間が死ぬことは有り得ないと決まっているのだが…」
「今回、事態があまりにも重大な為、君の誕生を早めざるをえなかった。その結果まだ死ぬべきでは無いはずの君が死に、それを受け入れられない人間が何人か現れてしまうのだ」