すでに,意識はなかった。医者は難しい,と言った。そのとき,まきが目を開けた。なんか言っている。「ゆ,,,ゆう,,と,,,を,,,よろし,,,くね,,」また目を閉じてしまった。もう二度と目を開けることはなかった。涙が止まらなかった。「ごめんなさい」それしか言えなかった。話によるとまきは酒を飲んでいたらしい。大好きだった祐斗と一緒に。祐斗はまきとやり直すつもりだったらしい。でも,まきはやり直すつもりはなかった。散々と飲んで居酒屋を去っていった。最後に「空,きれいだよ」と言って。そのあと事故った。祐斗とはここ2ヶ月から3ヶ月会っていない。
会う気もない。私は祐斗に捨てられた。裏切ってしまった,死んでしまった,まきに助けを求めた。―聞こえた。
まきの声が。「祐斗と一緒におなかの子を育てて。きっと幸せになれるわ。」ほほえんでいた。―\r
ドアの開く音がした。
『ガラガラっ』
「夢か,,,」でも,まきはいなかった。10年も前に死んだまきがいるはずがなかった。ドアの向こうに人の影が見える。
―「祐斗,,,」