・・・ただ付き合ってる人が多いだけで本当の恋なんて解ってなかった・・・
・・・でも・・・
・・・やっと出会えた・・・
・・・本当の・・・恋に・・・
「あっちぃ〜」
五月とは思えない暑さの中、沢達高校に木村 秀は来ていた。
何故かって?秀の十人以上いる彼女の内の一人とのデートの待ち合わせ場所だからだ。
しかし、いくら二年も通ってる高校とは言ってもこの暑さには全く慣れない。
「ふぅ〜」
秀は一息ついて図書館の近くのベンチに腰掛ける。
真昼間とは言え、今日は休日。辺りを見ても人影が全く無い。
当たり前だが・・・
なんて事を考えてると今日デートする予定の娘からの電話。
ケータイを開くと時計は1:27。予定の時間まで3分の余裕がある。
「・・・なんだろ?」
それより気になったのは本題の電話の内容だ。
「何?」
秀のお決まりのあいさつ。もしもしと言う日本の文化は何処にいったんだろう?
「やっほ」
こちらは秀の彼女の一人、松井 菜緒のあいさつ。
何かと聞くと、「・・・あの・・・」と言いにくそうに用件を話す。
しばらく話した後に「パチン」と秀のケータイが折り畳まれる。
ドタキャンのお知らせだった。