T子はポニーテールの似合う娘でした
僕は毎日ドキドキしながらT子と一緒にいました
過去を振り返ってみて異姓を初めて感じさせてくれたのも、このT子でした
そのT子と順調に過ごしていたある日、学年中を震撼させる事件がおきたのです
同級生の万引き事件が元で、集団万引きと一週間ごっこが学校問題になってしまったのです
万引き事件はさておき、一週間ごっこは大問題に
50人前後の親が順番に呼び出され、T子の親も当然学校に来ていました
次の日、T子は僕に「お母さんにKと別れなさい」と言われた、と泣きながら言ってきました
今思えば大切な可愛い娘が、よりによって不良の僕と付き合ってるんですから、親御さんと学校側も、穏やかではなかったと思います
しかし、僕達は別れませんでした
なるべく人目に付かないように裏道を歩いたり、学校でも先生に見られないようコソコソしてたと思います
夏休みが終り、少し経って陸上記録会の練習が始まった頃、二人の仲に終わりが来たのです
Y子いう娘が僕に「私、Kのこと好きなんだ」 「T子と別れて私と付き合って」と言ってきたのです
結果から言えば、僕はT子を裏切りY子と付き合うことにしたのです
T子は泣いていたと思います
いや、泣いていました
見るに見兼ねて、大阪から転校してきたばかりのA美が僕のところに「T子が可哀相じゃない」 「ふざけんじゃないわよ」と言いに来たくらいですから
そんな僕も一週間でY子と別れてしまい、結局、独りになってしまったのは、言うまでもありません
その後の僕は、同級生の中のツッパリから、H中学のツッパリへと確実におちこぼれていき、遊ぶ相手も先輩しかいませんでした
その頃です、シンナーを覚えたのは
朝学校に行く時から、夜家に帰る寸前まで、僕はシンナーの魔力に溺れていきました
毎日毎日単車を乗り回し、シンナーでラリっちゃ喧嘩をし、あっという間に中学卒業
良かったのか悪かったのか、楽しかったのか楽しく無かったのかは、今でも解りません