「あ〜あ、朝っぱらから
雨かよ。」
朝起きると窓の向こうは
絶え間無く降り続ける
雨だった。
全く、何かを暗示されて
いるような気がする。
時間を確認・・・まだ、
大丈夫そうだな。
軽く、ゆっくり・・・
「ピーンポーン・・・」
チャイムがなる。
「はーい。」
僕はドアを開ける。
「おはようございます、
蓮君。」
まるで、天気が雨で
ある事を一瞬忘れさせる
かのような笑顔の澪。
「どうした、時間なら
まだまだ余裕がある。」
こんな時間に行けば、
クラスで1番になる
可能性がある。
「いえ、何事も早めにした方がいいですから。」
それもそうだ。
「もうすぐしたら、
瑠瓦達が来る。
それまで待たないか?」
すると、少し落ち込んだ
感じがする。
「そうですか、せっかく相合い傘が出来ると思いましたのに。」
王道中の王道・・・
と心底思う。
・・・出来る事ならその、
上目使いは止めてほしい。残念そうな表情と
組み合わされて、
凶悪な罪悪感で
今にも潰されそう。
「駄目ですか?」
目が潤んでる。
第一ラウンド、30秒、
フックとアッパーに
より、秒殺KO。
降り注ぐ雨の中、
相合い傘が一つ。
僕は、人見知りが激しく、女子に対する免疫が
強くない。
その状態でピッタリと
くっつかれては
心臓が破裂しそうだ。
何とか、無事に学校に
着いた。もしかして、
放課後もこんな事を?
「れ〜ん、随分と
早い登校だね〜。
クックック。」
微笑する瑠瓦・・・まさか。
「何を見た、瑠瓦。」
その答えは、
「いや〜、王道でも
実際にはあんまり見る
機会はないからね。」
まだだ、
これは誘導尋問だ。
願わくば、今ここに、
澪が来ない・・・来たー!。
「澪ちゃん、今日は
誰と来たの?」
言うな、思い止まれ!
「蓮君と
一緒に来ました。」
あはは、無駄だよな。
それ以上は言わないで。
「相合い傘?」
答えるな!NGだ!
「はい、そうです。」
僕、放課後まで生きてら
れるかな。
放課後・・・
な、何とか生き延びた。
澪は用事があり、
一緒に帰れない。
靴を履き、
玄関に出ると、
一人の女子が居る。
傘を忘れたのだろうか。
「途中まで、送り
ましょうか?」
今、僕は墓穴を掘った。