悲しみの空?

桐生徳人  2007-04-18投稿
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王国暦683年
戦争の翌年…

僕は生まれた…

決して裕福ではないけれど、優しい父さん、母さんに囲まれてとても幸せだった。

母さんは戦争に巻き込まれて両脚が不自由だった。

でも母さんはその事を全く悲しんではいなかった。

父さんといつも笑顔で僕を温かく包んでくれた。

ずっとこんな日が続くと信じて疑わなかった。

そんなある日、僕は近所をずっと散歩していた。

暇でしょうがなかったのだ。

少し路地に入ったところに近所の女の子がしゃがんで泣いていた。

「どうしたの?」

僕は優しく声を掛けた。

「…ミーちゃんが、ミーちゃんがっ…」

なんとか聞こえる程度の声で女の子は言った。

女の子は自分の前に置かれているダンボール箱を震える指で差した。

僕はそっとダンボール箱を開けた。

中には黒い子猫がいた。グッタリしてピクリとも動かない。どうやら死んでしまったらしい。

幼かった僕は、泣きじゃくる女の子になんて言えばいいのかわからなかった。

僕は女の子の頭に手を置き、そっと撫でることしか出来なかった。

その時だった。女の子の頭に乗せた手から…得体の知れない[何か]がズズズっと僕の中に入り込んできた。



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